殺された二人の子供を別にすると、この事件に関わった三人のうち最も理解しがたいのは
恐らく原田の妻、京子の言動であろう。原田の旦那は理解できる。気の小さな自分勝手で
ダメな男の典型として。一方、北村の場合、男に騙され二度も堕胎した世間知らずの女で
不倫や堕胎に対する後ろめたさがあったことを示す言動もあり、不倫相手の妻からの異常な
罵倒を常にされ続けたという事実から、それが転化して原田夫妻の子供を殺したという
行動は、受け入れがたいにしろ理解は出来る。人は追いつめられると異常心理に陥るもの。

しかし、京子だけはどうしても理解できない。旦那が不倫したからと言って相手の女に対し
異常とも思える電話ストーカーまがいの行動は普通はしない。人間は必ずどこかに結界を
設けて過剰な行為を抑制するものだ。それに加え、子供を失った直後に何事もなかった様に
また子作りを始めるというのも理解できない。通常なら喪失感から立ち直るには、相応の
付きを必要とするものだ。この人だけは言動が特殊すぎる。