この梅川という男は決して許されざる大罪人だが、憎しみよりも、ただただ哀れみを感じてしまう。
もちろん被害者や遺族にとっては憎悪あるのみだろうし、俺もその立場ならそうかもしれないが。
立てこもり中の言動や人質一部解放の理由など、どこか人間くささを感じる部分も散見される。
過去の生い立ちや境遇を知ったうえで読むと、なんとも胸を締めつけられるような思いになる。
(くどいようだが、だからといってこの男を許せるという話では一切ない)
彼はなにも、立てこもって人を殺してやろうと思ってこういうことをしでかしたわけではない。
そこが、ここ十数年間に起こった一連の「誰でもよかった」的な通り魔殺人犯とは根本的に異なる。
後者のほうは本当に腹が立つし、深い憎悪を覚える。
が、梅川に対してはあまり怒りという感情が湧いてこない。ひたすら胸が締めつけられる思いだ。
彼は金が目的だった。借金を返すための金。
人を殺すのが目的でもなければ、遊ぶ金を奪うのが目的でもなかった。
実際、愚かしくも彼は行員に金を持たせて借金主のところへ行かせたという。本当に愚かで哀れな話だ。
(くどいようだが、だからといってこの男を許せるという話では一切ない)
俺がこの事件で腹が立つのは梅川ではなく、>>109のような輩。
まったく、梅川よりも下劣きわまりない輩だ。