沢の集落というところにはのちにI氏を冤罪におとしいれるのにも一役買った、
Sげんぞうの実家(自転車屋)があった。被害者はそこをめざして自転車を走らせた。
その家の物置で知り合いと会うためである。

その知り合いというのがSげんぞう自身なのか、あるいは少年だったのかはまだ不明であるが、
いずれにせよ”少年が自転車店付近ですれちがった”と証言した地点から先、
目撃情報はなく、被害者はこつ然と姿を消すことになる。

Sげんぞう。いずれにしても彼が事件そのものに一枚かんでいたことは間違いない。