遺族が長年密かに持っていた総裁の遺書を公表するなど、そういったことがない限りは
自殺説の決定的事実は今となっては世に出てくる可能性は低い。
証言にしても、関係者の多くが鬼籍に入っている現在では新しい情報は得られないと見ていい。
だから自殺説を支持する新たな材料はほぼ「打ち止め」ということになる。
他殺説の場合、近年出版されたいくつかの書籍でも見られるように、
時の流れの中で埋もれてしまっていた人と人、組織と組織の繋がりなどを
当時の資料などから引っ張り出し、それを元にして
「理にかなったストーリー」を作り上げることは、想像力豊かな者にとってはそれほど難しくない。
例えば下山総裁が死んで結果として得をした人物に当時副総裁だった加賀山氏がいるが、
彼を黒幕として面白いストーリーを作れるかもしれない。
こういったストーリーは正誤の証明が難しく、結局は「言いっぱなし」になってしまいがちだが
他殺説が根強い理由のひとつがここらへんにあるように思う。