>>465
ああゴメン。書き方が悪かったね。確かに誤解されてもしょうがないや。

確かに「秋谷鑑定」で出てくる機関車は、下山総裁を轢断したD51 561機関車だ。
でも、「秋谷鑑定」には、「1ヤールの木綿地をもって」「車両底部のあらゆる個所を拭いて得た油量」
が「4.5cc」と明記されている。この「4.5cc」というのは「重要な意味を持つ」と強調されているし、
その後の記述にも出てくるからミスプリではない。しかし、4.5ccというのは、普通のスプーン1杯
にも満たない量で、あのデカイD51の底部にそれしか油がないというのは常識的に考えられない。

実際、佐藤一が同型のD51機関車5台を拭き取り調査したところ、得られた油の量はそれぞれ
97g、77g、51g、88g、78g(これは抽出した油の量で、付着物自体はもっと多い)だった。油の
比重は0.9なので、ccに直すとそれぞれ1割り増し、ということになる。これと「4.5cc」を比べれば、
12倍〜23倍ということになる。
しかも、佐藤は「あらゆる個所を」拭き取ったわけじゃない。機関車の一部しか拭き取っておらず、
面積比で考えるとこの10倍以上、「4.5cc」の200倍をはるかにこえる量の油が機関車下面には
存在するとおもわれる、としている。
佐藤の書くことを全面的に信用するわけじゃないが、D51下面の油の量がスプーン1杯というのと
1リットル近いというのでは、個人的には1リットルの方が実感に合っていると思う。

要するに、「秋谷鑑定」に出てくる「4.5cc」というのが事実であれば、好意的に解釈してもそれは
既に洗浄・再整備されてしまった機関車を調べたということであって、事件当時の「轢断機関車」
を調べた結果とはとても言えないということだ。
ましてや、「鉄粉、ゴミをまじえた油を布でぬぐい取りもした」と記述される状態で4.5ccというのは
とても考えられない数値で、矢田は本当に現場を見て書いたのか、ということになる。

その意味で、佐藤がやった実験とそれほど差があるとは思えないし、特にその「4.5cc」をもって
「量だけで考えても下山油は機関車の油ではない」という証拠とするのは明らかな間違い。