そもそも初動捜査に抜け穴が幾つかあった。
単独犯か複数犯か分からないのに、単独犯と決め付けた。
よって鍋に1人で近づく機会がなくても混入は可能。
犯人は10人組かもしれない。
また混入の時期の特定も強引で、調理前から鍋の底にあったかもしれないし、
直接混入したかどうかも不明で、決定的瞬間を見たと言う者はいない。
ヒ素カレーを食べた者を容疑者から外すのも考え物。
最大道連れ心中まで視野に入れないと、落とし穴はある。
見張りをしていたガレージは通りに面していて、屋根は透明で、
決して容易に鍋に細工出来るような場所ではない。
毒を盛るだけなら幼児でも可能だが。バレないように盛るには工夫が必要。
ところが林真須美は無防備で、バレない工夫をした形跡がない。
捜査関係者の言い分は、予断や予見に基づいてストーリーを作り、
目撃証言のような都合の良い証拠は、曖昧でも重要視され、
夫の言い分は身内の言うことだと、聞く耳を持たない。
これだけ奇妙な事件の判決を喜ぶ天真爛漫なお方が羨ましい。