11巻真打ち・クライマックス 「ゴブリンスレイヤーはゴブリンがドラゴンより偉い糞アニメ 47」 (P272)


…頭上から響き渡る轟音の中を一匹の小鬼が、ひたすらに走り続けていた。

ほかの小鬼より一回り大きな体格を持つ彼は、とうの昔に鎖を投げ捨てている。
今や彼は角のついた兜に外装、鎧を着こみ、使えもしないハルバートを携えていた。

そのどれもこれもが、先陣切って飛び込んで、一番に立派な部屋に飛び込んで物を奪った結果だ。
自分の後からついてきて、おこぼれにあずかろうなんて奴らに分けてやる必要はない。
そして彼は外(で暴れまわるサンドマンタ)を見て、やはりいの一番に逃げ出したのだった。

自分は兵士と斬り合ったり、嬲ったり、嬲ってる間にほかの兵士に殺される間抜けとは違う。
ほかのやつらは死んで当然の屑ばかりだが、自分だけは違うのだ。

いや、そもそも自分が死ぬなどとすら、彼は思っていなかったに違いない。
今まで連中は一度も自分を助けたりせず、むしろ嘲笑っていたのだから、死んで当然だ。
そんな風に思っていたのかもしれない。

いずれにせよ彼は要塞が崩れるより早く、分厚い岩盤に守られた地下に飛び込んでいた。
自分を再びこの穴倉に押し込めた(ゴブ太郎達の)連中への怒りが、ふつふつとわいて出る。
だが、今はそれどころではなかった。
彼には目的があったし、ほかの馬鹿に先を越されるわけにはいかなかったのだ。

彼がくしゃくしゃになるまで握りしめたそれは、一枚の紙きれであった。
鎧兜をぶんどった際に、たまたま拾い上げたそれは、絵図面のようなものが描かれていた。

地図とか言う奴だろう。彼は自分の賢さに満面の笑みを浮かべた。賢いからわかるのだ。