…よろよろと立ち上がると、肩を貸すものがいる。
「DIE、JOB、DEATH…CAR?」

…お見事です、陛下。されど、冒険者が逆襲に来るでしょう。
早急な対策が必要です。いかがなされますか。

貴重な重臣たちが死んでいく中、たった一人生き残ることのできた、副官であった。

「…GOBRU、BUHO…GEB…」
…城内にて状況を整理する。汝に、借りができたな。我一人では、勝てなかった…

緊張であふれた胃液が肺に入り、げほごほとせき込むと、背中をゆっくりさすられる。
6巻の世界にも出てきそうなこの手先は、貴重な人材と言えた。

エルフ、ドワーフ、ゴブリンスレイヤーの死体から装備が引きはがされ、解体されていく。
雪景色の中、粛々と、アリの群れのように、すべての作業が進む。
激戦を繰り広げた強敵はもはやただの切り刻むだけの素材でしかなく
一顧だにする余裕など、雑兵たちにはない。

今までの小鬼たちと若干違う彼らの、貧弱ではあっても成長していくであろう脳には、
今や敵の健闘を思いやったり称えたりする余裕もなければ、
恨みや憎しみを込めて蹴り飛ばす無駄な時間も存在しない。

……こんな奴らに勝てて、自慢になるか。
そう、思っただけである。

                                 (終)