牢獄で激昂錯乱する令状騎士、太郎の計画が破綻 (P175)

「ぅわああああああっ!!!!」
令状騎士が予想だにしない行動に打って出た。
強引に檻から飛び出し手を突き出し、女神官を嬲って楽しむ小鬼僧侶の喉を掴んだのだ。
「OGA……?」
「うあ、あああっ!あああああぁっ!!」
獣の如き咆哮をあげて、彼女はそのまま、体格差を利用してゴブリンへ体当たりをかけた。
「GORARA……!?」
「ひゃっ!?」
半狂乱になった小鬼僧侶が、石造りのナイフを腰帯から抜いて振り回し、女神官を掠める。
頬に薄く赤い血の線を引かれながら彼女が身を退けると、令状騎士はナイフを叩き落す。

「ORGAGAGA!?!?」
「ゴブリン…ゴブリンッ!ゴブリンッ!!!!」
そのまま馬乗りになって拳を叩きつける。
小鬼僧侶が喚きながら手足を振り回す度、令状騎士の白い肌には痣が浮かぶ。
だが彼女はそれを物ともしない。
「あああぁっ!!死ね、死んでしまえッ!!」
鼻を砕き、目を潰す。葉をへし折って、顎を叩く。

「GARAO!?」
いかなゴブリンといえど、これで異変に気付かれぬわけがない。(中略)

当初の予定では、供物たる娘を検分させるべく、砦の主を牢獄に呼ぶつもりであった。
小鬼聖騎士……いるならば!……を確実に仕留められるなら、そこだろうと。
もはや計画は完全に破綻した。
「……まあ、予想はできたな」(←太郎)