(須賀君の部屋……案外片付いてるんですね)

須賀君の部屋着と短パンを身に着けて、須賀君のベッドでゴロゴロと横になる。

帰り道、須賀君に借りたい本があって一緒に歩いている時に降ってきた大雨で、私達はぐしょぐしょに濡れてしまいました。
急いで須賀君の家に向かいましたが、着いた頃には二人共濡れ鼠。
タオルを借りて頭を拭くだけでも良かったけれど、恥ずかしげに制服越しに胸が透けて見えると教えられて。
着替えを借りて、急いで制服やスカートを乾かしてもらうことになったのはいいけれども。

(須賀君のにおい……)
(ぼーっとしてきますね…)
(……布団も…須賀君のにおい…します…)

うつろうつろとする感覚に抗いきれず。
重さを増す瞼を開くこともしきれずに。


次に目を覚ましたとき。
須賀君が優しい顔で自分の寝顔を見ているのだと気付いて、私は慌てて飛び起きた。

「須賀君……えっと、私……」
「あぁ、大丈夫だって。寝言のことも言いふらしたりしないから。安心してくれ」
「寝言!?私は寝言で何を言ったんですか!?須賀君、須賀君!?」

まるで子供をあやすように髪を撫でられて。
部屋の端には、乾いたであろう制服やスカートが掛けられていて。
ただ、もう少しだけこうしていたくて。
窓の外では雨音が止んでいるのに。
微睡みながら、須賀君と言葉を交わしていたくて。
結局両親に連絡して、須賀君に家まで送ってもらうことになって。

「また………」
(また、須賀君の家に行ってもいいですか?)

ほんの少しのわがままを呑み込んで。
今夜はきっと眠れない──確信に近い想いを持て余しながら、雨上がりの星を見上げた。