J2新潟、リーグへの報告は発表前日 2選手酒気帯び疑い 独自判断で試合出場させる
2020/10/17 09:20
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20201017575349.html
https://www.niigata-nippo.co.jp/newsfile/image/detail/0074103100479654.jpg

 サッカーJ2アルビレックス新潟の2選手が9月に酒気帯び運転の疑いで摘発されていた問題で、クラブは約1カ月間、Jリーグにも報告していなかったことが16日、分かった。
クラブは新潟日報社の取材に対し、選手の摘発を公表しないまま試合に出場させ続けていたのは、クラブ単独の判断だったことを認めた。

 Jリーグによると、クラブから摘発の報告があったのは今月14日。
クラブは翌15日の報道発表で「Jリーグや関係各所への報告と情報共有を行い、両選手に対する指導監督を行ってきた」などと説明していた。
クラブの発表はJリーグや県警の説明と食い違う点が多く、是永大輔社長(43)らフロントの説明責任が問われそうだ。

 9月17日未明に県警に摘発されていたのはブラジル出身のFWファビオ選手(23)。スペイン国籍のFWペドロ・マンジー選手(32)は直前まで同乗していた。
両選手は同日朝、クラブに報告。ファビオ選手は9月23日の愛媛戦から今月14日の福岡戦まで6試合連続出場していた。

 クラブは摘発から約1カ月が経過した15日に報道発表し、両選手のチーム活動への参加を禁じた。
クラブによると、他の所属選手には報道発表の直前、是永社長がビデオ通話アプリを使って説明した。
アルベルト監督がいつ事実関係を把握したかについてはクラブは「分からない」(広報責任者)としている。

 Jリーグへの報告が摘発から約1カ月後になったことについて、Jリーグの広報担当者は「リーグの規約上、例えば、罪を犯したら報告しなさいというような義務はない。
ルール違反にはならないが、道義的な問題」と指摘。ファビオ選手の試合出場に関しては「知る由もなかった」と述べた。

 摘発から公表まで約1カ月間経過した理由として、クラブ側が「警察の指示を仰ぎながら、確定的な判断が出るのを待ってから行うこととした」と発表したことに対し、
県警交通指導課は「県警として、事実を隠すように言うことはない」と否定。「確定的な判断を待った」という点についても「酒気帯びは基本的に、事実が認められれば全て検察に送致する」とした。

 クラブの報道発表と関係者の説明が食い違う点について、クラブの広報責任者は「分からない」と繰り返した。一連の対応を決めた是永社長は、16日時点で取材要請に応じていない。

 クラブは19日の臨時取締役会で両選手の処分を決める。Jリーグから新潟への制裁に関しても、同日以降協議される。

 ◎県警が2選手を書類送検

 県警が16日、J2アルビレックス新潟のFWファビオ選手(23)を道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで、
同乗していたFWペドロ・マンジー選手(32)を道交法違反ほう助の疑いで、それぞれ書類送検したことが新潟地検への取材で分かった。

 クラブは酒気帯び運転の公表時、書類送検の予定を19日と説明。同日の臨時取締役会で両選手の処分を決定するとしていた。

 ただ、クラブの公式ツイッターには、失望感や不快感を示すコメントが多い。酒気帯び運転の取り締まりを受けた後も、
ファビオ選手を公式戦に出場させていたことへの疑問など「クラブは説明責任を果たしていない」と厳しく指摘する声もある。

 企業法務やコンプライアンスに詳しい新潟大大学院の田中幸弘教授(58)は「プロ契約は、一般企業とその従業員に求められるコンプライアンスとは異なる特性がある。
その特性と道義的な責任のバランスを踏まえた対応を取る必要がある」とした上で、
「サポーターに理解が得られるように説明し、Jリーグへの報告義務などのルール化を進めるべきだ」とした。